昨日の夕方4時20分過ぎ、そろそろ終わろうかと帰り支度最中の事でした。
4時半までが営業時間の私の事務所、引っ越して家から遠くなったから、4時半になったら事務所を出るのが最近の日課だ。
4時を回ったら帰り支度を始めるが、準備や片付けは労働時間。
事務所の経営者である私は「労働者」ではないから関係ないけど、まあいいか。
準備の時間はもちろん、片付け時間も含めて営業時間。
顧問社労士監修のもと、従業員も経営者もみんなが働きやすい事務所がココにある。
従業員はいないけどね。
雇う予定もないけどね。
やってもらう業務もないし、給料を払う余裕なんてあるわけがない。
古アパート事務所の静寂を切り裂き、チャイムが鳴り響く
実は事務所にしているこの木造古アパートには、インターホンが付いている。
建てられた当時には、そんなしゃれた設備は高嶺の花だったから後付けだろう。
万が一最初から付いていたとしたら、失礼しましたごめんなさい。
どこからどう見ても50年物には見えないから、大丈夫だろうけど。
そのインターホンが突然、けたたましい音を立てた。
呼び出しのチャイムが鳴り響いた。
遠くで小鳥のさえずりや、子ども達の下校時のおしゃべりが聞こえるほど静かなアパートで。
あまりに突然のことで、どうしていいかわからない。
固まってしまった。
結果的には居留守。
セールスだったのかと安心したところで、ふたたび・・・
呆然としていると、たぶん隣の部屋から同じようなチャイムが聞こえてきた。
おとなりさんは、荷物置き場に使ってるはずだからいないよ。
しばらくすると、今度はもう一段小さな音で同じチャイムが聞こえてきた。
さらに隣の部屋を鳴らしているのかな?
ということは、セールスか。
この陸の孤島のような木造古アパートをターゲットとするとは、まだまだだな。
陸の孤島というより、陸の無人島に近いんだぜ。
そんな余裕をかましてた瞬間、また私の部屋のチャイムが鳴った。
覚悟を決めて、インターホンの受話器を握りしめる個人事業主
セールスじゃないのか。
居留守を使おうにも、私は帰るところだ。
玄関を出たら、鉢合わせじゃないか。
仕方ない、出てやろうじゃないか。
覚悟を決めて、インターホンの受話器を上げた。
「ひゃ、ひゃい?」
声が裏返ったじゃないか、恥ずかしい。
しかし、返事はない。
大丈夫か、聞こえているのかこのインターホン。
受話器から聞こえてくるのは、ちょうどアパートの前を通る下校途中の小学生の笑い声。
インターホン越しじゃなくても聞こえてるぞ。
その後、恐る恐る玄関を出たけど、それらしい人影はない。
もう二度と、インターホンなんか出るもんか。
居留守、居留守っ!