昨日は夕方から、久しぶりに賃貸物件を見に行きました。
いつものことながら不動産屋さんには連絡しない。
まずはどんなところか、こっそりと見に行くだけ。
不動産屋さんに案内してもらったら、ゆっくり見ることも考えることもできない。
というのは言い訳で、だれかに連絡したり商談することに、まず抵抗がある。
しかも話の流れで断り切れずに借りてしまうかもしれないからな、こいつ(←私)は。
話がそれてしまったが、ネットで見る限りはなかなかに魅力的な物件だ。
古い鉄筋コンクリート造りのマンションで、トイレはあるがお風呂はない。
お風呂はもともといらないし、トイレが洋式だからユニットバスよりいい。
木造アパートには少し抵抗もあるから、鉄筋コンクリート造りがうれしい。
私の家から駅とは反対方向に徒歩20分、ちと遠いが歩けない距離ではない。
これで敷金礼金なしの込み込み月25,000円という、たぶん破格値。
どこの駅からも徒歩30分の工場街という、場所の不便さがなせるワザかな。
残念ながらここはない。安いのは安いなりの理由がある
私の家からは徒歩20分だが、駅近にある私の事務所からは30分はかかるようだ。
この寒い中、30分歩く元気はないからバスに乗る。
事務所をいつもより1時間早く出て、さあどんなところだ私に見せて見よ!
バスで降り立ったそこは、町工場が集まる工場街。
周りはさびれた工場と古びた住宅がポツリポツリ。
風の冷たさと人気のなさで、さびしいさ3倍増だ。
早くもテンションが下がる。
目指すマンションは、1階2階が店舗で3階が目指す部屋。
古いマンションらしく、狭くて急な階段をのぼるが手すりがないぞ危ないぞ。
2階の店舗はカーテンが閉まり手入れもされていなくって、もう営業していないようだ。
ドキドキワクワクは、すでにない。
足元に注意しながら階段をのぼり3階に到着、目指す部屋は奥からひとつ前のはず。
廊下は狭くて吹きっさらし、申し訳程度の手すりしかなく景色はいいが良すぎて怖い。
おそるおそる手すりに手を掛け下を見て足がすくむ、よろけて落ちたらタダでは済まない。
帰りたくなってきた。
一番奥の部屋の前には自転車や傘やバケツに段ボール箱、いろんなものが置いてある。
まるでこの建物の主(ぬし)のような雰囲気を漂わせている。
この建物に住むなら私に逆らうな、言い付けに従え!という声が聞こえてきそうだ。
ここはまずい、長居してはいけない。
あわてたわけでは決してないが、手すりのない急な階段を踏み外しそうになる。
おっと危ない私も歳だな。
ここを事務所にしたら、いつの日か大けがをするかもしれない。
帰りのバスはない。何しに来たんだろうとトボトボ歩いて帰る
私はエスカレーターに乗るとき、必ず手すりのベルトをつかむ。
電車に乗って座れないときも、つり革をつかむかどこかにつかまる。
手すりのない階段が、あんなに怖いものとは思わなかった。
建物自体は悪くない。
帰りがけ、ベランダ側から部屋を見上げてみた。
周りは平屋の工場が広がり、きっと景色もいいだろうな。
でも気になったのはとなり(←一番奥ね)の部屋、ベランダに年季の入った観葉植物。
長年住んでるんだぞ、と言わんばかりの主(ぬし)の貫禄が伝わってくるかのようだ。
私の勝手な想像だから、お隣さんはとってもいい人なのかもしれない。
でもそれならそれで、人付き合いの苦手な私には苦痛だ。
ここなら、以前行った辺境の街にあるマンションの方がマシだ。
いや、となり街のあまりに安いマンションの方がいいか。
未練がましいが古アパートでもいいかも、エアコン買わなくちゃいけないが。
図書館途中の古アパートも、最近空室が出たみたいだな。
そんなことを考えながら、トボトボと家路についた。