私が社会人として働き始めたのは、昭和の終わりから平成の始め。
そう、バブル期だ。
就職はできて当たり前。
だらしない性格で知られた私は、まともに就職活動もしなかった。
それでも普通に働き始めることができたのだから、いい時代だったのだろう。
上司に誘われ、取引先と一緒にフグというものを食べに行った。
だれがどうやって払ったかは知らないが、3人で9万円だったはず。
ひとり3万円だ。
ふぐ刺しも鍋もうまかったが、なんといってもフグのから揚げ。
これがとにかく絶品。
この世にこんな美味しいものがあるのかと、目からウロコ、そしてほっぺたが同時に落ちた。
(※「ほっぺたが落ちる」とは、すごく美味しいという意味だが今でも通じるのだろうか。)
あれから30年、あのときの味には巡りあえない。
フグのから揚げを食べるたびに「違う、これじゃない」と思ってる。
あの味を知ってしまった私は、幸せなのか不幸なのか。
最近はもう、フグのから揚げを食べようという気にはならない。
ひとり3万円の食事は、もう1回ある。
それは、フグのから揚げを食べてから数年後。
得意先のおっさんのリクエストで行った、目の前で焼いてくれるステーキ屋さん。
ふたりで6万円、これは私の財布から出した。
ちゃんと領収書をもらって、精算したけどね。
分厚いはずの肉が、舌の上で溶けていく。
飲み込んでいるはずだが、ちゃんと飲み込んだ記憶がない。
口の中で、うまさだけを残してどこかに消えていく。
肉料理は今でも好きだから、いつも美味しく食べている。
いつでも美味しいよ。
ちゃんと飲み込んでいる感覚はあるけどね。
高くて美味しいものを食べたい気持ちもよく分かる
何だい、高級料理を食べた自慢かい!という声もあるだろう。
さんまんえ~ん?、大したことないよという人もいるだろう。
別に深い意味はない。
上に書いた、フグのから揚げとステーキは「高くて美味しくて印象に残っているもの」だ。
美味しくて印象に残っているものなら、他にいくらでもある。
今はもうない商店街の60円コロッケ。
潰れてしまった近所のお好み焼き屋さんのスペシャルメニュー。
旅先でたまたま食べた、みそとんかつ。
今も時々食べるカツカレー、ラーメン、吉野家の牛丼、餃子の王将の焼き餃子・・・。
最近は、ローソンのバーガーメンチカツがお気に入りだ。
昨日も久しぶりに食べた。
3月になってから、まだ1個目だけど。
さすがに少し飽きてきたかな?
今日のお昼は何にしようか。ふたたび昼食難民に戻りそうな予感
高い料理は、たしかに美味しい。
いい材料に、腕のいい料理人が力をふるっているからそりゃそうだろう。
でも、今さら食べたいとは思わない。
安くて美味しいものもたくさんある。
ひとりでお店に入れない、っていう理由もあるけどね。
さて、もうお昼だが何を食べようか。
バーガーメンチカツ、ハムサンド、カップ麺、そしてたまに吉野家の牛丼、というローテーションにも飽きてきたな。
昼食難民、再び降臨かな。